2022年始動 ~不妊治療 保険適用へ向けて~

新年あけましておめでとうございます。院長の園田です。

2022年も始まりました。今年、皆さんはどのような目標を立てられたでしょうか?

子供のころは、
元旦に書初めで一年の目標となる言葉を書いたりしましたが、
大人になるとなかなかそのような機会もなく、
なんとなくこんな年にしたいなーと心の中で思うくらいでしょうか。

言葉にする、文字におこすというのは、
新鮮な気持ちになることもでき、
とても良いことなのかもしれませんね。

私の2022年の言葉は“洋々”に決めました。

洋々という言葉の意味ですが、
・水があふれるばかりに満ちているさま。水が広々と広がっているさま。
・希望に満ちているさま。
を表します。

前途洋々という言葉でよく使われますが、
これは、“未来の道のりが大きく長く広がっていて大きな可能性、希望があること”という意味です。

この2年間、いろいろな意味で窮屈な世界でもがきながら進んできましたが、
今年は自分の気持ちは自由に洋々と広く保ち、
いろいろなことに興味を持ち、視野を広げ、新しいことに挑戦していこうと思います。

さて、皆さんも報道等でご存知かと思いますが、
今春からの保険適用に向けて、不妊治療も大きく動き始めます。

特に生殖補助医療(ART)は、
経済的な負担も大きな治療であることより、現在、いろいろな議論、準備が進んできております。

12月15日に中医協(=中央社会保険医療協議会)の総会で、
以下の事柄が公表されました。

対象者 不妊症と診断された男女で、治療開始時点で女性の年齢が43歳未満

回数 40歳未満:子ども1人につき最大6回まで
   40歳以上43歳未満:最大3回まで

*事実婚の男女についても保険適用の対象とする。

どの治療が適用となるかは、まだ明らかにされていませんが、
昨年、日本生殖医学会が不妊治療の標準的な治療法をまとめたガイドラインを発表しました。

そのガイドラインの中で、
3段階の評価のうち「強く勧められる」または「勧められる」と評価された治療法は
原則として保険適用となる見込みです。

人工授精」、「体外受精」、「顕微授精」などについても対象とすることが想定されています。


またガイドラインで「実施が考慮される」と評価された治療法、
例えば、タイムラプスインキュベーターによる胚の培養や、
子宮内膜受容能検査(ERA)など、

またガイドラインに掲載されていない治療法について、

また着床前診断(PGT-A)なども、

原則として保険適用外としつつ、
医療機関からの申請があれば「先進医療」
とされ、
保険適用された治療と併用できるように審議を進めるとのことです。

現在、ARTは患者さん個々の状態に合わせたオーダーメイド治療が主流となってきており、
画一的な治療では不十分になる面も多くあります。

卵巣刺激ひとつにしても、
卵巣機能を評価するホルモンAMH(ブログ:卵の在庫)や、
その他のホルモン値、エコーでの卵巣所見など、
さまざまな指標を基に刺激スケジュールを組んでいきます(ブログ:採卵にまつわる不安ごと)

採卵個数も個人差があり(ブログ:妊娠するために必要な卵子の数)
その後の凍結や胚移植なども最適な方法を決めていかなければなりません。

少しでも年齢の若いうちに、
より多くの卵子を採卵して、
複数個の受精卵を凍結保存できるかということは、

子供が何人欲しいか、
仕事のキャリアアップを考えながら、どの時期に出産して育児していきたい等、
ライフプランを考える上で、大きく影響を及ぼすことになります。

前回の私のブログ(~卵巣過剰刺激症候群 OHSS:ovarian hyperstimulation syndrome~)でもお話しましたが、
少ない採卵回数で多くの卵子を獲得することで妊娠の可能性を上げながら、
速やかに副作用であるOHSSを軽減させる。

不妊治療においては、バランス良く治療することがとても大事です。

今回の保険適用でこれまでどおりのオーダーメイド治療ができるかどうか、
画一的な治療のみしかできないのか、審議の結果待ちという状態になります。

保険適用までの対策として、
昨年1月より助成金制度の拡充(ブログ:特定不妊治療の助成金拡充案決定)が行われています。

助成金制度や、保険適応、先進医療など、今年、不妊治療は大きく変わっていきます。

私たちも皆さんに迅速に情報提供してまいりますので参考にしてください。

費用の詳細は≫保険診療料金一覧をご覧ください。

また、患者さん自身もご自分の治療に関することですので、
情報をしっかりと理解し、ご自分たちで管理することも忘れないでくださいね。

“身体もこころも健康な妊婦として送り出す”

2022年もこのモットーのもと、スタッフ一同、皆さんとともに前途洋々たる未来へ向け始動してまいります!

院長 園田桃代