今回は体外で受精させた受精卵(胚)を子宮にお戻しする胚移植についてお話しします。
採卵の時の卵巣に針を刺すイメージが強いので、胚移植も痛いかな?どんなことをするのかな?と不安をお持ちの方もたくさんいるのではないかと思います。
胚移植当日の流れを知り、少しでもリラックスして胚移植に望んでいただきたいと思い、今回は当院での胚移植当日の流れについてお話しします。
当院の胚移植当日の流れです
来院(月水金15時半、火木土13時)
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培養士より移植する胚の説明
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リカバリー室ご案内
術衣に着替えてもらう(点滴はありません)
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採卵室で胚移植(10分程度)
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着替えて、お会計
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帰宅
医師は胚移植中どんなことをしているの?
当院の胚移植は医師1人で行っています。患者様が入室し内診台に座ると経膣超音波で子宮の向きや子宮内膜の厚さを確認し、膣内の洗浄を行い分泌物をぬぐいます。患者様の状態を常に観察し、子宮内へ胚を戻すためガイドチューブ(※写真参照)を膣から子宮口に挿入し経膣超音波でガイドチューブの位置を確認し子宮内に留置します。
ガイドチューブ挿入後、培養士が持ってくるチューブ(胚が入っている)をガイドチューブの中に挿入していきます。経膣超音波でチューブ先端の位置を確認し胚移植に最適な子宮内膜へ胚を移植します。チューブ、ガイドチューブを抜いた後もう一度経膣超音波で子宮内膜の状態を確認し、培養士がチューブ、ガイドチューブ内に胚が残っていないか確認出来たら胚移植が終了となります。
培養士は胚移植中なにをしている?
移植する胚によって工程が変わりますが、凍結融解胚移植の場合は当日に胚を融解します。
融解後A H A(孵化補助術)を行います(胚の状態によってはしない場合もあります)。AHAについては以前のブログを参照してください。
移植30分前には移植用のヒアルロン酸入りの培養液が入った容器に、胚を移します。新鮮胚移植はタイムラプス(患者様の卵を一定時間ごとにカメラで撮影している培養器)から移植用のヒアルロン酸入り容器に移します。
患者様が来院されたら当日移植する胚のグレードや胚の状態の説明を行い、ベッドへご案内します。
胚移植中は患者様のガイドチューブが挿入されたのを確認したら、モニター画面に胚を入れた容器に書かれた患者様の名前をうつし、患者様、看護師、医師で本人様確認を行います。その後子宮にお戻しする胚の画像をうつします。
培養液に入った胚を清潔操作で専用のチューブで吸い取り医師とともにガイドチューブに挿入して行きます。
胚移植後は、まれに腹圧等でチューブに胚が戻ってくることがあるためガイドチューブやチューブ内に胚が残っていないか確認をします。
*誤認防止のため容器の準備や胚の入れ替え時、胚の融解など作業ごとに毎回スタッフ2名で名前の確認を行なっています。
看護師は胚移植中なにをしているの?
採卵室に入ったらまずは本人確認のためリストバンドの確認と名前、生年月日を患者さま本人におっしゃっていただきます。
胚移植中の膣洗浄の介助を行い、患者様の状態を確認しています。また移植する時の経膣超音波画像の説明を行っています。(経膣超音波ではチューブ先端や移植した所が白い画像として映ります)胚を移植する時にチューブ内に少量の空気や受精卵を培養していた培養液を胚と一緒に移植する事で経膣超音波上、白く映る場合があります。ここが子宮ですよ〜、ここが子宮内膜ですよ〜と説明しながら進めて行きますので安心してくださいね。
↑ ※画像にある上2本が胚移植に使うガイドチューブです。一番下が胚を吸って、ガイドチューブに挿入していくチューブです。
実際の移植時の経膣超音波です。
胚移植が終了すれば、当日の注意点(当日はシャワー浴のみ)をお伝えし、お薬(抗生剤やホルモン剤)についてや次回の妊娠判定日についてのお話をした後、着替えてお会計となります。
当院では経膣超音波での胚移植のため、事前の尿溜めはしておりません。必要な方だけお伝えしております。
移植当日の流れがイメージできたでしょうか?当院で胚移植周期に入られる方へ詳しく書いた胚移植の手引きをお渡ししますのでまた読んでみてくださいね。当日は緊張すると思いますが、安心してお越しくださいね。