膿精液症について

精子の数や質に影響を及ぼす要因はさまざまですが、その中でも今回は「膿精液症」についてご紹介します。WHOが定める白血球数の基準値は100万/ml未満、この基準値を超えると「膿精液症」と定義されています。

膿精液症とは精液中に白血球が多く混じる病態であり、ほとんどの方は無症状で自然に改善することも多いといわれています。

しかし、白血球の数が多いと白血球が精子を攻撃することで運動率の低下やDNA損傷率の増加に繋がります。

膿精液症の明確な原因は分かっていませんが、精嚢や前立腺に細菌(淋菌やクラミジア)やウイルスが入り込み炎症を生じることが白血球の異常増殖に繋がると考えられています。

当院でも精液検査や人工授精、体外受精において精子をカウントする際は必ず白血球の数も確認し、患者さまに結果をお伝えしています。

下の写真は実際に顕微鏡で見たときの白血球になります。

左上にある大きく丸い形をしたものが白血球になります。

膿精液症の治療法は薬物療法が一般的ですが、原因不明の場合が多く、当院では白血球が100万/mlを超える場合でも症状がなければ経過観察、自覚症状があれば菌に応じた薬物療法を推奨しています。

もし精液が急に黄色や緑色になる、排尿痛がある、性器の腫れ、射精時の出血などの自覚症状がありましたらお気軽にご相談ください。