意外に強い卵の生命力

こんにちは。培養室です。

梅雨に入り、雨の日が多くなってきましたね。気温の差も大きいので、体調管理など特に気をつけてお過ごしください。

さて、皆さんは卵子というのがどういう形をしているかご存じでしょうか。

卵細胞質という卵子の本体の部分が透明帯と呼ばれる殻の中に入っており、受精すると通常であれば、透明帯の中で細胞質の部分が分裂しながら成長を進めていきます。

しかし、採卵で卵子を体外に取り出してきた場合、まれにこの透明帯のない卵子というのが存在します。これらはzona(透明帯)free卵と呼ばれ、右下のような様子をしています。

左の正常な卵子と並べると、外側の透明帯がなく中身だけの状態であるのがわかっていただけると思います。透明帯は細胞質を外側の刺激から守ったり、細胞が分裂する途中でばらばらになるのを防いだりといった役割を持つので、あるに越したことはないのですが、この透明帯がなくても分裂してくれる卵子もあります。

今トレンドのあのキャラクターを彷彿とさせますね。

上手く育てばそのまま胚盤胞にもなれます。

Zona freeの胚盤胞は、遮るものがないのでどこまでも自由に大きくなっていきます。

人間の卵はわりとタフですので、zona free卵由来の胚盤胞でも移植して出産に至ったという報告も多数あります。

Zona free卵が得られた場合、患者さまには卵の説明の際にご報告させていただきます。良い状態の胚盤胞であれば移植をお勧めするかと思いますが、もし不安なことがあればその都度ご質問ください。