こんにちは、培養室です。
朝晩の寒暖差が激しい日々ですね。
特に夜は冷え込みますので、皆様どうぞあたたかくしてお過ごしください。
さて、タイトルにもあります通り、今回は奇形精子症についてお話したいと思います。
WHOの基準では、正常形態精子が全体の4%未満であった場合そのように診断され、当院でも同様の基準を設けております。
では、具体的にどのように形態を見ているのかというと、【クルーガーテスト】というものを行っています。
スライドガラスに精液を薄く塗抹し、染色して精子を観察する方法です。
頭部の形態や先体の割合、尾部(特に中片部)の形態を総合的に評価していきます。
基準値の4%というと、150匹観察して6匹正常形態精子がいればよい計算になります。
ところで、奇形精子症という名前、はじめて聞かれる方は結構ぎょっとされるのではないでしょうか。
奇形精子症とお伝えした患者様から特に頂く質問が、「奇形精子症で妊娠した場合、生まれてくるこどもに影響はないのか」というものです。
結論から申し上げますと、奇形精子症=障がいを持つお子さんが生まれる、ということはありません。
もちろん可能性は0ではありませんが、それは正常精液の方と変わらないとお考えください。
では、どういったところに影響してくるのか。
まず1つ目は、受精率です。特にタイミング法や人工授精といった一般治療においては、精子自身が持つ能力(数や運動性)が重要になるので、大きく影響します。
奇形精子は、正常精子に比べてまっすぐ力強く泳ぐ力が乏しい傾向にあります。また、DNA損傷率や未熟率も正常精子と比較して高い傾向が見られます。
そうすると、特に精子数の少ない方においては、どうしても受精率が下がる傾向にあります。卵にたどり着ける受精能を持った精子の数が、単純に少ないためです。
体外受精においては、割合にもよるのですが、顕微授精が推奨される場合があります。
顕微授精は、培養士が卵に入れる精子を目で一つ一つ確認するので、形態の良いものを選別できるためです。
2つ目は、胚発育への影響です。
奇形精子はDNA損傷率が高いと言われています。DNAが損傷している精子だった場合、もし卵と受精することが出来たとしても、その後の分割や、着床後の発生がうまくいかない可能性が高くなってきます。
ただ、奇形精子が正常精子よりも運動能がよい事はあまり考えられず、ほとんどの場合競争の中で自然に淘汰されます。
また、奇形精子が受精してその後無事にお子さんが生まれた場合、そのお子さんが“奇形精子を理由に”障がいを持つ、ということもありません。
正常精子に比べ性質が劣る可能性が高い、というだけで、奇形精子すべてが悪いもの、というわけでもないのです。
奇形精子症を直接的に改善する治療法や薬はなく、ご自身の健康状態を整えていただくことが重要になります。
過剰な飲酒、喫煙、不摂生な食事などされていませんか? 推奨される生活習慣や栄養素のご案内もできますので、気になる方はぜひスタッフまでお声がけください。

