~年齢と妊娠率~

みなさん、こんにちは!院長の園田です。

ゴールデンウィーク、旅行したり美味しいものを食べに行ったり、帰省して親孝行したりと、いろいろな過ごし方があるかと思いますが、日々の治療を頑張っている皆さんが、少しでもホッとしたひとときを過ごせていたら嬉しいです。

私はGW開始前の4月26日より東京で開催された学会(IFFS World Congress/日本生殖医学会)にスタッフとともに参加してきました。会場は東京国際フォーラム、日本最大級のコンベンションセンターで、会場内を歩くだけでも驚くほどの歩数になっていました。今回は国際学会であったため、多くの海外の方も参加されており、とても華やかでまた大変勉強になる会でした。

また美味しいものを食べに行くというのも学会を充実したものにする大事な要素ですが、今回はお昼にスタッフと築地場外市場のお寿司屋さんにランチに行ってきました。東京在住の方に教えていただいたお店で、どのネタもとても美味しく、江戸前寿司を堪能することができました。

今回は年齢と妊娠率についてお話したいと思います。

みなさんもご存知かと思いますが、不妊治療において、年齢は妊娠率に強く影響を与える要因のひとつです。

自然妊娠率は、一般的に、20代後半から30歳頃までの女性では、1回の月経周期あたり20〜25%とされています。しかし、35歳になるとこの確率は約15%に低下し、40歳ではさらに5〜10%程度まで下がります。そして43歳を超えると、1〜2%未満となり、妊娠の成立は非常に難しくなるのが現状です。

このように、加齢による妊孕性(妊娠する力)の低下は避けられない現象であり、特に35歳を過ぎたあたりからは妊娠率の低下が顕著に現れます。

不妊治療における生殖補助医療(ART:Assisted Reproductive Technology 体外受精・顕微授精)においても、女性の年齢は治療成績に大きな影響を及ぼします。

日本産科婦人科学会のARTデータブックより年齢別の成績は下のグラフのとおりです。

🔹 34歳以下
34歳以下の女性では、ARTによる胚移植あたりの妊娠率は45〜50%と高く、流産率も比較的低く約20%以下です。

🔹 35〜39歳
35歳を超えると妊娠率は徐々に低下し、この年齢層の妊娠率は35〜40%程度になります。また、流産率は上昇傾向を示します。なお、不妊治療開始年齢として最も多いのがこの年齢層です。

🔹 40歳以上
40歳を超えると、ARTの治療成績は大きく低下します。妊娠率は30%を下回るようになり、1歳毎に低下し、45歳では10%未満となります。流産率は40歳で約30%、45歳では60%近くにまで上昇します。この年齢層では卵子の質の大幅な低下が治療成績に直結していると言えます。

このように、ARTにおいても自然妊娠と同様に、女性の年齢は妊娠・出産の可能性に強く影響を及ぼします。

年齢による卵巣の変化は不可逆的であり、加齢とともにARTで採取できる卵子の数や、質も変わっていくのが現状です。

年齢というリミットにしっかりと向き合い、今の状態で最大限妊娠に繋がるよう一緒に頑張っていきましょう。

2024年の当院での治療成績を更新しておりますので、ご参考にしてください。

                                                                              院長 園田桃代