PGT-Aとは、体外受精で得られた胚の染色体数が正常かを移植する前に網羅的に調べる検査で、出産率を高め流産率を減らす目的で実施されています。
これまでPGT-Aを受けられるのは「反復する体外受精・胚移植の不成功の既往を有する不妊症の夫婦」または「反復する流死産の既往を有する不育症の夫婦」がある方に限られていました。
今回新たに日本産科婦人科学会よりPGT-Aに関する細則の改定が発表され、検査の対象に女性が高年齢の不妊症の夫婦(女性年齢が35歳以上を目安とする)が追加されました。
国内外の臨床研究結果に基づいてPGT-Aが35歳以上の女性において有効性が確認されたため適応拡大となったそうです。
【改定後の検査対象】
1)反復する体外受精・胚移植の不成功の既往を有する不妊症の夫婦
2)反復する流死産の既往を有する不育症の夫婦
ただし1)と2)について夫婦のいずれかに染色体構造異常(均衡型染色体転座など)などが確認されている場合を除く。
3)女性が高年齢の不妊症の夫婦(女性年齢は35歳以上を目安とする)
今回の適応拡大で35歳以上の方であれば、はじめての体外受精でも最初からPGT-Aを受けることが出来ます。既に体外受精を受けられている方も35歳以上であれば受けることが出来ます。34歳以下の方については以前と同じ適応です。
PGT-Aは染色体異常のない胚を移植できるため、体外受精を繰り返すことによる女性の身体的・精神的負担、治療期間の短縮、経済的負担の軽減につながることが期待できます。
しかし一方で、保険適用外の自由診療であるため費用が高額となります。日本の公的医療保険は「病気の治療」を対象としており、PGT-Aは「染色体異常のある受精卵を避ける」検査であり病気の治療とはみなされないため、保険適用外となるそうです。
費用面でのハードルは高いままですが、今回の改定で患者さまの選択肢が広がりより良い結果に繋がることを願います。