月経困難症とは ~生理痛と妊孕性について~

みなさん、こんにちは!院長の園田です。

突然の梅雨明けとともに7月が始まり、強い日差しと蒸し暑さに、いよいよ夏本番を実感する季節となりました。

本当に、あっという間の夏の到来に驚かされますね。

最近では、「暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)」という言葉を耳にする機会も増えてきましたが、みなさん、ご存知でしょうか?

これは、気温だけでなく湿度や日射、周囲の熱の影響も含めて計算される、体感的な暑さを示す指標とのことです。

目安となる数値は以下のとおりです:

・25未満:ほぼ安全(通常の活動が可能)

・25~28:注意(外での活動はこまめな休憩・水分補給が必要)

・28~31:警戒(激しい運動は控え、十分な休憩を取る)

・31以上:厳重警戒(屋外での運動や作業は原則中止、熱中症リスク大)

このような数値も参考にしながら、毎日の体調管理に気を付けていきましょうね。

ちなみに7月1日15:00の大阪のWBGTは31.6でした。厳重警戒です!

さて、今回は「月経困難症」についてお話します。

月経困難症とは、毎月の生理のたびに強い痛みや不快な症状が現れ、日常生活に支障をきたす状態のことをいいます。

「いつもの生理痛だから…」と軽く考えがちですが、その背景には将来の妊娠に影響する婦人科疾患が隠れていることも少なくありません。

早期に正しく診断し、必要に応じた治療を行うことが大切です。

以下に月経困難症を引き起こす疾患を挙げますね。

子宮内膜症(Endometriosis)

子宮内膜症については以前のブログでもお話したことがありますが、本来は子宮の内側にだけ存在する子宮内膜の組織が、子宮以外の場所(卵巣、腹膜、腸、膀胱など)にできてしまう病気です。月経のたびに炎症や出血を繰り返し、周囲の組織と癒着していくことで、強い生理痛、性交痛、排便痛などが現れます。

炎症を繰り返すことで骨盤内に癒着が生じ、卵管や卵巣の動きが妨げられ、卵子の移動や受精に支障をきたしたり、卵巣内に内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)ができると、卵巣の機能が低下し、排卵が起こりにくくなることもあります。さらに、慢性的な炎症によって子宮内膜の質が低下し、受精卵が着床しづらくなるほか、免疫系やホルモンバランスの異常も加わり、妊娠の成立や維持が難しくなることもあります。

子宮腺筋症(Adenomyosis)

子宮の筋肉の中に子宮内膜の組織が入り込んでしまい、子宮が大きく硬くなる病気です。子宮腺筋症は強い月経時の症状(ひどい痛み、月経血量が多い等)を伴うことがあります。

月経のたびに痛み止めが手放せないという方も多く、中には生活に支障が出るほど症状が重くなるケースもあります。

妊孕性に関しては、子宮腺筋症があることで着床しにくい環境となり、流産のリスクが高くなることがあります。

子宮筋腫(Uterine Myoma)

子宮筋腫は、子宮にできる良性の腫瘍で、30代以降の女性に多く見られます。女性の3人に1人、40代では2人に1人が持っているとも言われるほど、比較的よくある病気です。特に子宮内膜に近い粘膜下筋腫や子宮の内腔を変形させてしまうような筋腫の場合、着床しづらくなる、流産のリスクが高くなるなどの影響があります。治療としてはすぐに手術をしなければというわけではありませんが、流産を繰り返しており明らかに筋腫が原因と考えられる場合や、超音波やMRIで子宮内膜の変形が確認されたような場合には、手術を検討することがあります。

これらの疾患を診断するために、問診、内診、経腟超音波検査を行います。また必要に応じて、MRIや腫瘍マーカー(CA125など)の測定を行います。

強い月経痛は、「体質」や「仕方のないもの」として放置されがちです。
しかし、その背景にある疾患は時間とともに重症化する可能性があり、将来的な不妊症や流産リスクを高める要因となり得ます。

「ただの生理痛」と我慢せず、気になる症状があれば、ぜひお気軽にご相談下さいね。                                                                                   

院長 園田桃代