抗精子抗体って?


こんにちは、培養室です。
外に出るのも億劫になる猛暑が続いていますね。みなさんくれぐれも体調にはお気をつけてお過ごしください。

さて、当院に限らずですが、不妊治療を始めるにあたり、患者様は様々な検査を受けられると思います。
たくさんあるどれもが治療をする上で大切な項目なのですが、今回はその中でも、治療方針に大きくかかわってくる『抗精子抗体』についてお話したいと思います。

どういったものかというと、まさに読んで字のごとく、“精子を異物とみなし、動きを妨げてしまう抗体”のことです。作用によっていくつかの種類に分類され、主なものとして、精子同士をくっつけて塊にして動けなくする「精子凝集抗体」や、精子そのものの運動能力を奪う「精子不動化抗体」などがあります。

通常は女性の身体は精子に対して抗体を作らないのですが、あくまで本来体内にはなかったものなので、抗体が出来てしまう可能性が3-4%ほどあるといわれています。
ちなみに、こういうと女性のみにできる抗体のようですが、炎症などにより血液中に精子が入ってしまった場合など、男性にもできる可能性があったりします。

検査によってこの抗体が陽性と判明した場合、残念ながら自然妊娠や一般治療(タイミング法や人工授精)での妊娠率はかなり低くなります。
抗体価にもよりますが、当院においても陽性の患者様には体外受精、もしくは早期のステップアップを推奨しています。また体外受精の場合、授精方法は顕微授精をおすすめしています。

検査結果によっては、患者様の想定よりも一足も二足も治療が一気に進んでしまう場合もあり、そのことに不安を感じられる方もいらっしゃるかと思います。
分からないこと、不安なことはぜひ、医師をはじめ、クリニックスタッフまでご相談ください。