不妊治療検査の1つに卵管造影検査があります。当院では卵管に狭窄や閉塞がある場合は卵管鏡下卵管形成術(以下FT)が適応となる場合があります(手術の適応についてはこちらのブログをご参考にしてください)
FTとは・・
バルンカテーテルと呼ばれる細い管を膣から子宮、卵管に挿入しカテーテルに内蔵されたバルーンを卵管内で押し進めていき、狭窄や閉塞がある卵管を拡張していく手術のことです。FTの実際についてはこちらをご覧ください。
当院のFTは手術室で医師1人、看護師2人が入室します。
医師はFT中なにしてるの?
医師は患者様が入室すると静脈麻酔の管理をします。まずは経腟超音波検査で卵巣や子宮の状態を確認します。感染予防の為に膣内消毒・洗浄を行い患者様の状態を常に観察しながら子宮内に内視鏡(卵管鏡)を内蔵したバルーンカテーテルを挿入します。卵管口を卵管鏡で確認しながら卵管にバルーンカテーテルを進めて狭窄や閉塞した部分を拡げていき、最後は卵管の状態を卵管鏡で観察しながらバルーンカテーテルを引き抜きます。FT後は膣内消毒を行い、手術室を出るまで患者様の状態を観察しています。
看護師はFT中なにをしているの?
看護師1人は患者様と共に手術室に入り、まず本人確認の為に名前と生年月日を言ってもらいます。その後、手術室の内診台に座り心電図モニターや血圧測定器等をつけて患者様の状態を常に観察しています。酸素飽和度が下がってきた場合は下顎挙上を行い、酸素投与することもあります。患者様の横に付き添っています。ご不安な方は手を握らせてもらいますので安心してリラックスしてくださいね。
もう1人の看護師は医師の後ろで、医師の指示のもと、バルーンカテーテルに繋がったバルーン拡張器を操作します。ちなみに手術中に医師から6や2と数字が聞えてきたらバルーンの圧を操作しているのかなーと思っててくださいね。
「卵管が閉塞してショックだった。」
卵管造影検査後に落ち込んだ様子で話をする患者様がおられました。でもまずは卵管造影検査を頑張ったから卵管の狭窄や閉塞を発見できたと思うと、検査を頑張った自分を褒めて上げて欲しいなと思います。院長先生が以前ブログに載せていましたが、当院FT後の卵管開通率100%であり、FT後の妊娠率は30%となっています。卵管の狭窄や閉塞がある場合でも手術をすることで自然妊娠できる可能性があります。
「手術の帰宅時間は?」
朝来院していただくと、昼頃には帰宅できるようなスケジュールとなっておりますが麻酔による気分不良や、麻酔の覚醒状況により点滴を追加で使用する場合があります。その為、患者様の体調によって帰宅時間は変わってきます。
◎当院でのFT当日の流れについてお伝えしたいと思います。
9:30から11:30の間で来院(当日の手術の人数によって来院時間が変わります)
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問診
月経が終了しているか(出血が残っていると感染のリスクや卵管口が発見しにくくなります)
絶食やアレルギーの有無、体調、同意書の確認をします
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リカバリー室へご案内。術衣に着替えてもらい点滴と筋肉注射を行い、その後手術室へ歩いて移動します。
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FT施行(手術時間は10〜15分。麻酔は静脈麻酔を実施します)
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FT終了後車いすにてベッドに戻りリカバリー室で2時間ほど休みます
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F Tの結果説明をします
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帰宅
「手術は痛いですか?」
FTは静脈麻酔(ホリゾン(鎮静剤)、ソセゴン(鎮痛剤))を使用しています。術中に痛みをおっしゃっていても術後に確認すると「そんなこと私が言ってたんですか?覚えてません」と言われる方も多く、麻酔使用時の意識の有無や痛みについては個人差があります。
費用について
FTは健康保険適用となっており、高額療養費制度を申請していただくか保険情報の紐づいたマイナンバーカードを使用することで窓口でのお支払いが自己負担限度額までとなります。
ご不安なことがありましたら、気軽にスタッフにお声がけください。
外は寒いですが、体を温めて妊活を進めていきましょうね!

