こんにちは、培養室です。
本日は、体外受精を行う上で重要なポイントである、卵や精子の”成熟”についてお話します。
不妊治療では、「成熟精子」「成熟卵」という言葉を耳にすることがあります。
ここでいう「成熟」とは、大きく成長したという意味ではなく、受精するための準備が整った状態を指します。
成熟精子と未熟精子の違い
精子は精巣で作られた後、精巣上体を通ることで受精する力を身につけます。
成熟精子は、前進する運動能力を持ち、自力で卵子まで到達して受精する能力を備えています。また、DNAがしっかりと保護されており、正常な受精やその後の胚発育につながることが期待されます。
一方、未熟精子は運動性や受精能力が十分ではなく、DNAの質が十分でない場合もあります。
顕微授精では培養士が運動性や形態を確認し、できるだけ良好な精子を選択しています。
成熟卵と未熟卵の違い
採卵した卵子がすべて受精できるわけではありません。
体外受精では、卵子の成熟度を確認し、**MII期(成熟卵)**と呼ばれる状態の卵子を受精に用います。
成熟卵は、受精に必要な準備が整い、正常な受精が期待できる状態の卵子です。
一方、GV期やMI期と呼ばれる未熟卵は、まだ準備が整っておらず、受精率や胚への発育率は成熟卵より低い傾向があります。
まとめ
妊娠には、卵と精子の両方が適切に成熟していることが重要です。
精子は、十分な運動性や受精能力を獲得することで成熟し、卵は第一極体が確認できる「成熟卵(MII卵)」になることで受精の準備が整います。
しかし、卵子の成熟には、見た目で確認できる「核成熟」だけでなく、受精後の胚発育に必要な「細胞質成熟」も重要です。細胞質の成熟度は顕微鏡では評価できず、現在もその仕組みや評価方法について研究が進められています。
そのため、不妊治療では採卵数や精子数だけでなく、精子や卵子の「成熟」と「質」の両方が治療成績に大きく関わります。
当院では、一つひとつの精子・卵子の状態を丁寧に評価し、患者さま一人ひとりに適した治療をご提案しています。気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

