培養室紹介 ~後編~

培養室紹介 ~後編~

こんにちは、培養室です。
今回は培養室紹介の後編です。
前編ではご紹介しきれなかった部分をご紹介させていただきます!

検卵:卵胞液から卵子を回収する

体外受精の場合、体の中から卵子を外に取り出す必要があり、その処置を採卵と呼びます。
卵子は、卵巣にある「卵胞」と呼ばれる袋の内側の壁にくっついており、卵胞の中は卵胞液という液体で満たされています。
卵子は成熟すると、卵胞の内側の壁からはがれて、卵胞液の中に浮かびます。
採卵では、このような卵胞に膣側から針を刺して、卵胞液ごと卵子を吸い出します。
培養士は、この吸い出した卵胞液から卵子を探しだし、回収しています。

採卵後の卵子
   採卵で回収できた卵子

受精操作

体外受精において、受精方法は一般体外受精と顕微授精の2種類があります。
当日の精子の状態や、治療歴などで受精の方法を決めています。

一般体外受精

一般体外受精は、卵子が入っている容器に処理をした精子を入れる方法です。
精子は自分で卵子まで泳いで行き、受精します。

顕微授精

顕微授精は、細いガラスの針の中に精子を1匹捕まえて、
下の写真のような顕微鏡で卵子を見ながら、ガラスの針を操作して直接卵子に
精子を注入する方法です。

顕微授精を行う顕微鏡
顕微授精を行う顕微鏡
顕微授精の様子
顕微授精の様子です。
左側のガラスピペットで卵子を固定し、右側のガラスの針を卵子に刺して卵子内に精子を注入します。

受精卵の観察、胚の凍結

受精操作の翌日、きちんと受精しているかどうかを確認します。
受精している事が確認できたら、さらに培養を続け、決められた日に観察を行います。

受精卵は細胞分裂を繰り返しながら成長していきます。
受精後2~3日目の受精卵(胚)は初期胚と呼ばれ、5~6日目には胚盤胞と呼ばれる状態になります。
受精卵(胚)が順調に成長しているかどうかを確認するために、受精後3日目の初期胚あるいは5日目又は6日目の胚盤胞のタイミングに合わせて観察を行います。
観察では初期胚または胚盤胞の成長スピードに合わせて、それぞれにグレードを付けます。そのグレードに従って、妊娠できる可能性のある受精卵(胚)だけを移植凍結の対象にしています。

初期胚
初期胚
胚盤胞
胚盤胞

胚移植・胚融解

培養した受精卵(胚)のうち、グレードの良い(=妊娠の可能性のある)受精卵(胚)を子宮内へ移植(胚移植)します。
胚移植には採卵周期に移植を行う新鮮胚移植と、受精卵を一旦凍結して別の周期に融解して移植を行う凍結融解胚移植の2種類があります。
培養士は移植に使用する受精卵(胚)の観察や凍結した胚の融解、胚移植専用カテーテルに受精卵(胚)を吸引する作業を担当しています。
受精卵(胚)を胚移植専用のカテーテルに培養液と共に吸引し、腟から超音波プローブで子宮にある子宮内膜の位置を確認しながらカテーテルを挿入し受精卵(胚)を移植します。
胚移植は痛みもほとんどなく、数分で終了します。

移植する受精卵(胚)の個数には決まりがあります。
日本産科婦人科学会の会告(平成20年4月)により、『胚移植において、移植する 受精卵(胚) は原則として1個』と決められています。ただし、35歳以上の女性、または2回以上続けて妊娠不成立であった女性などについては、2個の胚移植を許容するとされています。
学会の会告と患者様の状態から移植する個数を決めていきます。

培養士セミナー

普段の外来や男性不妊外来で、診察の待ち時間を利用して待合室で簡単なセミナ
ーを行っています。
セミナーの内容は、精液検査について・補中益気湯(漢方薬)についてなど、患者さまからのアンケートをもとにテーマを決めています。
セミナーの時間は15分程度ですので、お気軽にご参加くださいね。

学会参加・発表

当院では、学会発表や学会参加を積極的に行っています。
日本では不妊治療に関する学会がいくつかあり、毎年参加しています。
学会の発表形式は、口頭発表とポスター発表の2種類あります。
口頭発表は、演台に立ち大きなスクリーンに内容を表示しながら発表します。ポスター発表は、ポスターの前で集まった方にプレゼンテーションするものになります。

不妊治療は日進月歩です。学会に参加することで、新しい技術や最新の不妊治療の状況を知ることが出来るため、学会で得たことを活かして患者さまのお役に立ちたいと考えています。


以上、前編と後編に分けて、培養室の紹介をさせて頂きました。
このような仕事を通して、みなさまのサポートをさせて頂いております。

次回からは、
論文のご紹介や、役立つ情報を発信していければと考えています。
ご興味ありましたら次回もよろしくお願いします!!