「目は口ほどにものを言う」
マスク越しのコミュニケーション

マスクを着けるという感覚が普通にさえ感じてしまう今日この頃。

しかし、私たち医療者が患者さんとの信頼関係を築いていくということを考えると、お互いの表情が分かりづらいというのは本当に困りものです。

特に笑顔は安心感と話しやすい雰囲気を作る最大の武器!
言葉はなくても優しい微笑だけでお互いの気持ちが通じ合うことだってありますもんね。

接客業務の方用に口元が見える透明マスクというものも販売されているようですが、コロナ感染症拡大防止の観点から医療者は医療用のマスクをつけることが義務付けられています。
ましてや患者さんに透明マスクの使用を強制することもできません。

しかーし!
大丈夫、目や眉の動きは口元が隠れていても感情が表出されます。

こんなことわざをご存じでしょうか?

「目は口ほどにものを言う」

人間が喜怒哀楽の感情を最も顕著に表すのが目、何もしゃべらなくとも目つきから相手の感情がわかる、
そして言葉で偽りごまかしていても目を見ればその人の本心がわかる、
「目は心の窓」という言葉もあります。

そう、目というのはその人の印象を決めるパーツでもありますが、
本人が意図しているかどうかに関わらず、好意や敵意、尊敬や軽蔑、攻撃性や深い愛情までもが表れてしまう部分なのです。

相手の目を見て話す、視線を交わすということはとても大切なことだとわかります。

また、コミュニケーションといえば言葉を連想する方も多いかもしれませんが、言葉は単純に「情報」のみを伝達します。

実は私たちは非言語的コミュニケーションといわれる五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)をフルに活用して、
言葉では表現しきれない「感情」「熱意」「状況」「空気感」などを感じとっています。

顔や目の表情、声のトーン(抑揚)、身振り手振り、話の間、息づかい、身体的接触、姿勢、態度など目で見て、耳で聴いて、身体で感じることによって言葉以外の情報を交換するわけなんですね。
言葉の内容よりも大きな意味を持っています。

聴覚についてはマスク1枚の隔たりのために声がこもり、伝えることだけに精一杯になってしまわないように気を付けなければと思っています。

聞き取りやすく理解してもらえるようにと、いつもより大きな声で話していますが、プライバシーについても配慮する必要があるので声量についてはほどほどでコントロールしたいと思います。
必要最低限のことだけを話せばいいというものでもありませんので患者さんの気持ちを最優先するということを大切にしていきたいと思います。

そして、今は人と人との距離を取るということが大事なので、不安を感じる患者さんにタッチング(触覚)という行為で気軽に触れることもできません。ラテンの血が流れていると信じる私はハグが大好きなので残念でなりません。

お互いの体温を通じて心穏やかに安心することもあるんですけどね。
コロナショックは当たり前のことが当たり前で無くなる、本当にいろいろなことに影響を及ぼしていると改めて気づかされます。
人として一番大切なことに躊躇や制限があるのは悲しいことです。

しかし、この状況を嘆いてばかりもいられません!

不妊治療中は不安や疑問がつきものです。
何か不安に思っていることがあるのか無いのか、疑問に思っていることがあるのか無いのか、聞いてほしいことがあるのか無いのか、言葉でずばり伝えていただくというのも大切です。

それでもなかなか自分から気持ちを言い出せないという方もいらっしゃいます。

そういう時は私たち看護師が五感をフルに使ってキャッチしていきますのでご心配なく。

テーマにもある「目は口ほどにものを言う」

私たち看護師は肝に銘じ、マスクの下の笑顔が増えるよう、今まで以上に妊活をがんばる患者さんの力になれればと思っています。