胚だって十人十色♪

こんにちは。培養室です。
前回、培養室からは初期胚についてお話しました。
今回はその続きということで、胚盤胞についてお話していきたいと思います。

胚盤胞とは、初期胚よりもさらに成長が進んだ、受精してから約5日目の状態を
言います。初期胚と比べると、見た目も大きく異なります。

当院では胚盤胞において、
Gardner分類という方法に基づき、凍結する胚を決定しています。

このように成長具合、内細胞塊、栄養外胚葉のグレードを組み合わせ、BL(胚盤胞)3BB、BL5AAというように表記します。成長が進んでいるものほど数字が大きくなり、細胞が密になっているものはA評価になります。

当院では、初期胚を移植する場合と胚盤胞を移植する場合があり、
初期胚と比較すると、胚盤胞を移植したほうが妊娠率は高くなります。

では、全ての卵を胚盤胞まで育ててから移植したらいいのでは?
と思う方もいらっしゃるかと思います。

しかし、残念ながら全ての卵が胚盤胞まで育つとは限りません…。

実際、どれくらいの卵が胚盤胞まで育つのか、調べてみました。

もちろん個人差や、周期によっても異なってきますが、受精した卵の約半分が胚盤胞まで育つかどうか、基準を満たす良好胚盤胞はさらに少なくなります。

胚盤胞になることを期待し、5日間体外培養したことにより、
全ての卵が発育停止、もしくは基準を満たさない等で移殖そのものが実施できないということも実際には起こり得ます。

当院ではこのようなことを避けるため、胚盤胞凍結の予定であっても、
個数や3日目(初期胚)の状態によって、初期胚凍結に変更することがあります。

体外培養では胚盤胞まで育たなくても、初期胚の段階でママの体内に戻してあげれば育つという可能性はあります。
やはり卵にとってはママの体内が1番です。

グレードがあまり良くないとガッカリされる方や、
1回目、2回目の移植で結果が出なかったから、3番目の胚では結果が同じなのでは…
と話される方もいらっしゃいます。

グレードがあまり良くなくても、3番目、4番目の胚でも、
妊娠された方はいらっしゃいます。

初期胚のお話でもありましたが、やはりまずは胚自身の力を信じてあげてください。
たとえ同じグレードであっても1つとして同じ胚は存在しません。
ママのお腹に戻るまで、我々、胚培養士が責任をもってお預かりさせていただきます。

少しでも気になることがあれば、何でも聞いてくださいね。

また、上記のグラフ以外にも、HPにて治療成績に関するデータをまとめております。今後のご参考にしていただけたら幸いです。