~不妊治療のステップアップとは~

みなさん、こんにちは!院長の園田です。

肌寒く感じる日も出てくるようになりましたね。今年は本当にタイムスリップしたかのように、知らない間に晩秋に近づき、やがて冬になろうとしています。まだまだ気軽に海外旅行というわけにはいきませんが、その分、国内旅行を楽しんでいるという方も多いのではないでしょうか?

ハロウィン

今回のブログでは、不妊治療のステップアップについてお話したいと思います。

治療をされている方は、ステップアップとは何かはご存じかと思いますが、不妊治療を進めていく過程で、このステップアップという言葉はよく使われる言葉です。

不妊治療においては、まず検査を行い、その原因を突き止めていきます。原因が見つかれば、それに適した治療から開始します。タイミング療法から開始する方もいれば、人工授精からという方、最初から体外受精という方、それは患者さんの状態により開始する治療の種類は異なってきます。また時期が来たら、タイミング療法から人工授精へ、そして体外受精へと治療の段階が進んでいきます。治療の段階を進めること、次の治療へ切り替えること、これをステップアップといいます。

タイミング療法や人工授精から始めた場合、回数、何周期ぐらいその治療を行っていくのかは、その方の治療歴や年齢、卵巣年齢、精子の状態等により決めていきます。ひととおりの検査が終わった時点で、私の方から、今後の治療方法、何周期ぐらいかというお話をしております。子宮卵管造影検査が終わってホッとしたときにお話することも多いので、もしかしたら聞き逃している?という方もおられるかもしれません。患者さんご自身での治療の流れの把握はとても重要です。あれ?私はどのように治療が進んでいくのだったかな?と疑問に思われたら、整理をして見通しを立てながら治療を進めるために、私や看護師に治療についての確認をしてくださいね。20年以上、不妊治療に携わっていると、患者さんおひとりおひとりが今からどのような治療経過をたどり妊娠されていくかは、なんとなく頭の中に経過が浮かんでまいりますので、最適と思われる治療、回数を提案しております。医療においてはスタッフ-患者間の信頼関係が築けているかが鍵となります。前向きに、時には後ろを振り返りこれまでの治療経過の整理をし、周囲の雑音に惑わされることなく、私たちと共に治療を進めていただけたらと思います。

今回は、もうひとつ、お話をしたいと思います。

私が毎日、診療していて、みなさんとのやり取りの中で、嬉しく感じていることです。

妊婦となり当クリニックを卒業するとき

患者さんが頑張って治療を続けた結果、いざ妊婦としてのスタートをきるときの笑顔は何度見ても本当に美しいと思います。期待や(もちろん不安もあるかとは思いますが)、これまで夫婦で頑張ってきた自信を胸に、当クリニックを卒業する背中を見送りながら、母親としてのたくましささえ感じる瞬間がとても大好きです。妊婦となった皆さんには申し訳ないですが、私はその日の夜、その光景を思い出しながらのお酒を美味しくいただいております。

妊娠判定で陽性を告げるとき

この瞬間も私を含めスタッフみんなが喜びを感じるときです。驚き過ぎて言葉が出ない方、嬉しくて泣きだす方、いろいろな喜びの瞬間を分かち合えることは、皆さんと共に頑張ってきた私たちも同志のように幸せを実感しております。判定陽性でも、出血したらとか流産したらとか、いろいろと不安もうまれてくるかと思いますが、まずは、陽性が出た!この嬉しい瞬間をともに喜びましょう。

治療がうまくいかなったときでも、次、頑張りますという言葉を聞いたとき

不妊治療における気持ちの切り替え、これはとても大事なことです。そうは言っても簡単にできることではありません。しかし前に向かって動き出す皆さんの勇気を目の当たりにし、私たちはその姿勢を精一杯応援しようと思います。私たち医療側のやる気だけでは、治療はうまくいきません。やはり患者さんのやる気も必要です。私たち、皆さん両方の前向きな姿勢が治療を良い方向に進めてくれるのです。

この3つがベスト3かと思いますが、他にもたくさんの嬉しい場面はあります。

例えば…

一人目を出産し、二人目希望で久しぶりに来院された方の、すっかりお母さんになっている姿、成長した姿を見たときも、この仕事をやっていて良かったと思えるときです。あのとき泣いてばかりでどこか頼りなさげだった人が、こんなにもたくましくなるんだと感心することもあります。

治療の過程で辛い気持ちを全く表に出さずにグッと歯を食いしばり頑張っていた方が、ふっと私たちスタッフにやっと気持ちを言葉にしてくれたとき、このときも安心とともに一緒に戦っているという一体感ができた気がして嬉しく思います。

不妊治療はしんどいときもあれば、もうやめたいと投げ出してしまいたいときもあるかと思います。そういうときは周りを見てください。皆さんは一人ではありません。私たちスタッフも、いつも横にいてくれるご主人も、また同じように不妊治療を頑張っている仲間もいます。毎日の生活において不妊治療だけが日常ではありません。笑顔でいられる時間をできるだけ作ってください。

                                                                                                  院長 園田桃代