不妊症と子宮内膜症 
~子宮内膜症があっても妊娠できる!!~

夏のひまわり

みなさん、長かった梅雨もやっと明け、夏真っ盛りとなりましたね!

私は夏生まれということもあり、生命力あふれる夏という季節が大好きです。
今年は夏のレジャーもなかなか思うようにはいかないことも多いかと思いますが、工夫をしながらこの夏を楽しもうと策を練っております。

ひまわり

今回のブログは、子宮内膜症についてお話したいと思います。

子宮内膜症、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

不妊症とも深い関係のある子宮内膜症とは、いったい、どのような病気なのでしょうか?

子宮内膜は体内のホルモンの動きにより厚くなり、その周期に妊娠が成立しないと剥がれ落ちて月経をおこす、子宮の一番内側の膜です。

本来、子宮にしかない子宮内膜が子宮以外の場所で発生、発育し、子宮以外のところで月経をおこしてしまう状態、それが子宮内膜症です。

子宮からの出血=月経は膣から体外へ排出されますが、子宮以外の場所でおこった月経は出血の逃げ道がありません。

そうなると出血がその場所で溜まってしまったり、人間の身体は出血を止めようとする修復機構があるため、その出血部分をふさごうとし癒着を作ったりします。

卵巣で出血が起こった場合は、それが卵巣に溜まり、チョコレート嚢腫となります。

なぜチョコレートかといいますと…皮膚表面にケガをしたとき、かさぶたができますよね。
そのかさぶたは出血が古くなり茶色く固まったもので、卵巣内に溜まった出血もやがて茶色くなり、チョコレートのようになってきます。
それでチョコレート嚢腫というのです。

卵巣以外にも、
おなかの中の子宮や卵管、卵巣の周りで月経が起こると、修復機構が働き、癒着を作ってきます。

癒着がおこると、さまざまな痛みを引き起こす原因となったり、妊娠に重要な役割を果たす卵管がつまったりと、日常生活、妊活に影響を及ぼすこととなります。

子宮内膜症はなぜ不妊の原因となるのでしょうか?

下の図に示すように、
子宮内膜症は、妊娠成立のさまざまな過程で影響を及ぼします。

不妊症の方の25~50%に子宮内膜症があるといわれております。

実際に、エコー検査でチョコレート嚢腫があるよと言われた方もいらっしゃるかと思います。
明らかにチョコレート嚢腫がエコーで見られれば子宮内膜症の診断がつきますが、エコーでは分からない癒着や小さな子宮内膜症病変が隠れている場合もあります。

また、原因不明不妊と言われている方の中には、検査では分からない軽度の子宮内膜症がある方もいらっしゃいます。
→『~原因不明不妊とは?~』

子宮内膜症の一番の治療は、月経を止めることです。

すなわち妊娠することが子宮内膜症の治療となるのです。

子宮内膜症と不妊症はとても関係が深く、
不妊治療においては、的確に診断、治療の方針を立てていかないと、病変が悪化し、難治性の不妊症となることも考えられます。

実際に子宮内膜症がある場合の不妊治療においては、早めのステップアップ、早期の体外受精も必要となることも多いのです。

子宮内膜症は、女性の人生において長期に渡り付き合っていかないといけない病気です。
子宮内膜症と向き合いながら、的確に不妊治療をしていくこと、これがとても大事なことなのです。

院長  園田桃代