クラミジア感染症と不妊について

皆さん、こんにちは。クラミジア感染症はご存知ですか?クラミジア感染症は治療せず放置しておくと不妊症につながるため、今回はクラミジア感染症についてお話していきますね。

●クラミジア感染症とは?

クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマチスという細菌の粘膜への侵入によって起こる、日本で最も多い性感染症です。性器の他には喉や、まれに目の粘膜に感染します。男性の場合は尿道や肛門、女性の場合は膣や肛門、そして男女共通で喉に感染します。性器への感染は「性器クラミジア感染症」、喉への感染症は「咽頭(いんとう)クラミジア」と呼ばれています。

●性行為以外の感染もありえる?

クラミジアは、キスやオーラルセックスでも感染しますが、粘膜・分泌液への接触以外で感染する可能性はほとんどないため、プールや温泉施設を介しての感染は極めて低いです。性行為以外では、感染者の体液がついた手で目をこすることによって、まれに目の粘膜にも感染し、クラミジア性結膜炎を発症します。また、妊娠中に感染すると、早産を引き起こすだけではなく、母子感染を起こす可能性もあります。母親がクラミジアに感染していると出産時に新生児に感染し、結膜炎や肺炎を引き起こします。

●クラミジア男女別の症状(男女とも無症状であることが多い)

男性:尿道のむずむず感や痛痒さ、排尿時に痛みを感じる、尿道から透明~黄色っぽい分泌物や膿が出る、陰嚢の腫れによる圧迫感や痛み

女性:白から黄色っぽいおりものの増加、生理でないのに不正出血がある、性交時や性交後の下腹部の痛み、排尿時に痛みを感じる

●クラミジア感染による不妊とは

たった一度のクラミジア感染が、不妊症に直結するわけではありません。しかし、放置することで感染が広がり、卵管が閉塞して、いずれは不妊症を引き起こします。女性の場合は、感染を放置すると子宮頚部から腹腔内へと細菌が広がり、卵管炎、卵巣炎などの子宮付属器炎や骨盤腹膜炎を引き起こします。これらの炎症により、卵・胚が正しく運ばれず、子宮外妊娠卵管性不妊につながります。男性の場合は、感染を放置すると、前立腺・精嚢、最終的には精巣上体(陰嚢)に細菌が広がります。精巣上体は精巣でできた精子を精管へ運ぶ役割を担っていますが、炎症によって精管が塞がってしまうと、無精子症という男性不妊につながります。

●クラミジアの治療 クラミジアの感染が確認されたら、抗生物質による薬物療法を行います。内服開始から約3週間後の再検査で陰性が認められれば完治となります。当院では初診時に男女ともにクラミジア検査を実施しています。男性は検尿による検査、女性は綿棒を使用して膣からの分泌物を採取します。クラミジアは再感染を繰り返すことが多く、特に、夫婦・パートナーとうつし合うことが多いので、夫婦・パートナーと一緒に治療しましょう。